歯磨きが苦手だったり嫌いなお子さんに歯磨きしてもらう方法、歯磨き嫌いを直すコツを伝授します!
子供の歯磨き事情を知ろう・考えよう
子供は大人が思っているよりも歯磨きが嫌いな子が多い
歯磨きをしたがらない、歯磨きが嫌いというお子さん、多いですよね。
インターネット上で調べてみると、パパママが子供の歯磨きに関して悩みを持っていることがよくわかります。お悩み相談を投稿する掲示板やアドバイスを送りあうコミュニティにおいても「歯磨きをいかに子供にやらせるか」がテーマとなることは少なくありません。
実際、うちの子供も最初は歯磨きが嫌いでした。
今、改めて振り返ってみると、歯磨きが嫌すぎて歯磨き中に泣き出したり、嫌すぎて海老ぞり状態になったり、逃げ出したりということも何度もあったなあと、苦い思い出がよみがえります。
みなさん、自分の子供時代も思い出してみてください。実際どうでしたか?
私自身も子供の頃は歯磨きが嫌いでしたし、歯磨きをしないと親からはかなり怒られました。
歯磨きを怠って虫歯になってしまい歯医者に連れていかれ…というような思い出をお持ちの方も結構いるのではないでしょうか。そういう意味では、子供が歯磨き嫌いなのは至極当然のことなのかもしれないなと親になってから思うようになりました。
子供が歯磨きしたがらないのはなぜ?
では、子供が歯磨きをしたがらないのはどうしてでしょう?なぜ歯磨きが嫌いになのでしょうか?
これは非常にむずかしい問題です。
なぜなら、原因は十人十色、子供それぞれによって違うからです。
具体的な原因を他のお宅のパパママから聞いたり、考え付く理由を思いつくままに書いてみると…。
- 口の中に物を入れるという行為自体がこわい
- 歯ブラシで歯を磨かれるのが痛くてイヤ
- 虫歯のイメージがこわくて歯磨きができない
- 自由な時間を遮られるのがイヤ
- 歯磨きを嫌がることを親に怒られたことを思い出してしまう
- 眠い(就寝前の歯磨きの場合)
- 単純にめんどくさい、楽しくない
ざっと並べてみるだけでもこんな感じになりました。感覚的なところから物理的な問題まで様々ですね。
では、歯磨きをしてもらうためにはどうしたらいい?
それでは、子供が歯磨きをするようになるにはどういうことをしていくべきでしょうか。
嫌がっても無理やりやって徐々に習慣づける?
「虫歯になって歯がボロボロになっても知らないよ?」と脅してやらせる?
そういった親からの強制力で解決する方法も、もちろんあるでしょう。
しかし「できるかぎり、自発的に歯磨きをしてもらいたい」というのが親の心ですよね。
子供が自発的に歯磨きをする習慣をつけていくためには、そうなってもらうための「環境づくり」が必要だと私は考えています。もう少し突っ込んで言えば、「直接的にやらせるのではなく、自然とやってもらう」ように仕向けるのです。
では、子供が自分的に歯磨きをするようになり、それが習慣化されるように促すにはどんなことを重点的にやるべきでしょうか。
こういう際はコーチング的な考え方や要素が効いてきます。コーチングにおいて人間が自発的に行動したりそれを習慣づけるためのポイントは、「やることへの納得感」と「やったときの達成感」を継続的に経験するというところにあります。このポイントをもとに子供の歯磨き嫌いについて取り組んでみましょう。
子供の歯磨き嫌いを直す5ステップ
人が自発的に行動することを習慣づけるためには、「やることへの納得感」と「やったときの達成感」を継続的に経験する必要があると書きました。
今回は「子供の歯磨き」に対して考えますが、その具体的なアプローチは以下のような流れになります。
- 嫌がる原因を認識する
- 必要性やメリットを伝える
- 嫌がる原因を取り除いて自発的にやる動機付けをする
- 自発的にやった経験をさせる
- その経験に対してフィードバックして喜びを感じてもらう
アプローチのそれぞれのステップについては、以降の項目でもうすこし詳しく考えてみることにします。
ステップ1:「歯磨きをしたくない原因」を大人も子供も理解する
まずは「嫌がる原因を認識する」というステップです。
ここでいう「認識」は、「大人がわかる」というだけでなく「子供もわかる」というところがポイントです。とても難しい事ですが、地道に原因を聞いたり試したりして、嫌がっているポイントを探り当てていきましょう。
1~2歳でコミュニケーションが取りづらい時期も、子供はYES/NOであれば答えてくれることが多いです。いわゆる「クローズ質問」という方法ですね。時間をかけて繰り返し問いかけをして、地道に原因を探り当てていくわけです。
そして原因がわかった段階で、お互いにこれが「嫌だったんだね」と認め合います。上でも述べている通りお互いに理解しあったというところが大事です。この作業の中で子供の間にちゃんと理解してくれているという安心感が生まれ、親子間で歯磨きに関しての信頼関係を築くことができます。
ここがクリアできれば、あとはそれに対するケアや環境づくりが主になります。
ステップ2:子供に「歯磨きはとても大切で楽しいこと」だということを諭す
次は「必要性やメリットを伝える」というステップになります。
伝えるポイントは以下のとおりです。
- 歯磨きは虫歯にならないために大事なこと
- 歯磨きは毎日やること
- 歯磨きをするとよいことがある
伝え方は、例えば…
「歯磨きをしないと虫歯になってしまうよ。虫歯になってしまうと歯が痛くなってしまうけれど、歯磨きをちゃんとすれば、虫歯にならずにおいしいごはんがちゃんと食べられるよ!毎日歯磨きで歯をピカピカにしておいしいごはん、食べようね!」
というようにポジティブな感じで伝えるとよいと思います。このコミュニケーションは1度きりではなく、食事の前後や、歯磨きをはじめる際などに繰り返し行います。
このコミュニケーションの中で大事なのは、歯磨きをしないことによるデメリットを強く印象付けないこと。お子さんによってはそれが怖くて逆に歯磨きをしなくなる可能性があります。
歯磨きをしたほうがメリットがあるというポジティブな理由を刷り込むほうが、親のメンタル的にも子供のメンタル的にも良いですし、穏やかに諭すように伝えてみるといいと思います。
このように「必要性やメリットを伝える」ことを繰り返し行うことで、子供がもつ歯磨きに対しての「納得感」をつくりだしていきます。
ステップ3:子供に「歯磨きが楽しいこと」を体験してもらう
3つ目は「嫌がる原因を取り除いて自発的にやる動機付けをする」ステップです。
ここでは、ステップ1でみつけた嫌がる原因に立ち返って、自発的にやってもらう環境を整備していきます。嫌がる原因を除去したり、それに勝る楽しいことで嫌なことを気にさせなくするわけですね。
物理的な問題が原因の場合
嫌がる原因が物理的な問題であればその通り対処します。例えば「歯磨きが痛い」というものであれば、毛が柔らかい歯ブラシに変えてみたり、「口に入れるのが怖い」という理由ならば、歯ブラシのヘッドが小さいものを選ぶなど、モノで解決してしまいます。甘い味の歯磨きジェルを使ったりして動機付けしてあげるのも良いと思います。
精神的な問題が原因の場合
精神的な問題であれば、親がフォローすることで対処します。例えば「歯磨きが退屈、つまらない、めんどくさい」というような理由であれば、歯磨きを子供が興味をもっていることにすり替えます。「歯医者さんごっこをしてみよう!」とか、怪獣やヒーローものが好きなお子さんであれば「お口の中の怪獣を歯磨きでやっつけよう!」といった具合です。
そうすることで、子供が納得したうえで自らの意志でやったという事実を作り出します。
ステップ4:子供に「歯磨きが楽しい・うれしい」を経験したことを認識してもらう
4つ目のステップは「自発的にやった経験をさせる」そして「その経験に対してフィードバックして喜びを感じてもらう」ことを重点的に行います。
ステップ3では、自分からやりたいと思うようになってもらうための環境づくりをしました。
ステップ4では、実践して楽しい・うれしいと子供が感じていそうであれば、それをわかってもらうような環境をつくります。具体的には、歯磨きをして「楽しい」とか「うれしい」というのを、感じているときに声掛けをしてあげます。
例えば、「歯磨きが痛い」という理由で嫌いなお子さんが前述のような対策で歯磨きをすることを見事クリアできたとしたら「痛くなかったね!しかも歯もピカピカに磨けた!またおいしいごはんが食べられるね」といった感じで声をかけていきます。
「歯磨きが退屈」という理由で歯磨きをしたがらないお子さんの場合は、すべて磨き切った際に「すごい!お口の中の怪獣が全部退治できたね!しかもすごく楽しかったね?また明日も退治しようね!」といった具合です。
このように、自分ができたことをしっかり「できた」ということ、「うれしい」ということをここでも認めてあげましょう。
そうすることで、子供は自分の意志で納得してやったことに対して「これで良いのだ」という安心感を得るとともに「できた」という達成感を得るわけです。
ステップ5:子供の「歯磨きが楽しい・うれしい」を継続させる
ステップ4までで、1~5までのアプローチが一周しました。
ステップ5ではこの経験を繰り返し体験させます。ステップ2~4の流れを日常的に繰り返していくわけです。
ただ、継続はなかなか難しいもの。子供も同じネタでは飽きてきますので、飽きそうになってきたら新しいネタを仕込んでやっていく必要があります。
歯磨き嫌い対策の事例
実際に我が家でやってみて子供にうけたネタを事例として紹介します。
口の中の怪獣退治
虫歯をつくってしまう怪獣や悪者をヒーロー・ヒロインが歯ブラシを使って倒すというストーリーです。大きいお口ができたらヒーローの手助けになるという設定にします。
男の子ならウルトラマンや戦隊ヒーロー、仮面ライダー、ポケモンなどのキャラクター、女の子の場合はプリキュア、プリンセスなどをヒーロー・ヒロインとして出してもいいですね。
歯磨き屋さん
お店屋さんごっこあそびの延長です。パパママが歯磨き屋さんになって、子供がお金を払って歯磨きしてもらうというストーリーです。
歯を磨き終わったら、きれいになりましたという証明のハンコをほっぺたに押して終了です。子供に感想を聞いたところ最後のハンコを押されるところがとても嬉しいとのこと。何回もリピートされたので重宝しています。
歯医者さん
こちらもごっこあそびシリーズ。パパママが歯医者さんになります。受付をしてお医者さんに呼ばれるところからやると、子供は喜びますね。診察内容は歯の点検と歯磨きの練習というストーリーが結構うけました。子供としては特に「最後に診察料金の精算までするところが大人っぽくて良い」とのこと。
こういったごっこ遊びも、本当に歯科医院で診察を受ける前の練習にもなりますので、子供の心の準備運動としても良いのではないかと思います。
歯磨き地獄
最近我が家で流行っている歯磨きあそびです。その名も歯磨き地獄。地獄と言っても怖い地獄ではなく、マンガの「鬼灯の冷徹」のようなちょっとコミカルな地獄をイメージしてください。自分で磨けるようになった保育園・幼稚園くらいのお子様向けのごっこあそびです。
歯磨きしないと鬼がやってきて洗面台につれていかれる…というストーリー。鬼と一緒に歯磨きをして、磨き終わったらエンマ大王(パパ)の磨き残しチェック&仕上げ。きれいになったら天国のお釈迦様(ママ)のところに連れて行ってもらうというお話です。
保育園や幼稚園で「じごくのそうべえ」などのコミカルに地獄を描いた絵本の読み聞かせがあったりすると更に盛り上がるかもしれませんね。
最後に
歯磨きが苦手だったり嫌いなお子さんに歯磨きしてもらう方法、歯磨き嫌いを直すコツを説明しました。
大事なのは、子供が「やることへの納得感」と「やったときの達成感」を継続的に経験するような環境づくりをするということ。
具体的なアプローチとしては…。
- 嫌がる原因を認識する
- 必要性やメリットを伝える
- 嫌がる原因を取り除いて自発的にやる動機付けをする
- 自発的にやった経験をさせる
- その経験に対してフィードバックして喜びを感じてもらう
という感じで、これを反復していくということです。
子育てには正解はないですし、お子さんの特性も十人十色。見極めたうえでお子さんにあった環境づくりをしてみてくださいね。